梅雨時
梅の実が熟し、春から夏の天候に変わるこの時期、この国固有の季節現象であります梅雨が始まります。次第に高くなってくる太平洋高気圧と大陸の高気圧にはさまれた日本付近は気圧の谷に入り、太平洋方面からの水蒸気を多く含んだ暖気と、大陸方面からの乾燥した冷たい空気が接して梅雨前線を形成いたします。これがオホーツク海方面の高気圧に圧迫されて列島に停滞するために雨の日が多くなります。気温二十五度、湿度八十%となれば、じっと動かずにいても身体中が汗ばむ頃となります。
五風十雨
しかしながら、この時期が空梅雨だったりすると農作物の収穫のうえに大被害をもたらします。先人の教えに、六月は五風十雨の季節で、五日目に風が吹き、十日目に雨が降ればその年は五穀豊穣が約束されるといわれて参りました。この自然の恵みは私達日本人にとって、その風俗、習慣、産業、文化などあらゆる生活のリズムを支えているといわれています。天の恵み、地の栄えに感謝いたします。
氷室の朔日
陰暦六月一日は、「氷室の朔日」、又は、「氷室の節句」といいました。この日に氷室を開け、宮中で臣下に氷室の氷を賜わったといわれております。いまでこそ、氷は身近にありますが、その昔、氷は珍中の珍であり、寒中に天然の氷を切り出して「氷室」に貯蔵し、六月一日にその氷を朝廷や幕府に献上したと伝わっています。その昔、この伊豆の天城山中にも「氷室」があり、松本清張さん原作の短編「天城越え」にその話が出て参りますが、現在天然氷はないとうかがっております。気温の上昇と供に、この辺りでも地球温暖化の影響が出ているものと思われます。
更 衣 ころもがえ
陰暦四月朔日に、衣服や室内調度を冬のものから夏のものに改める行事。平安以降宮中行事でしたが、武家や民家でも行なわれるようになり、江戸期にかなり細かく定めが出来、四月一日から袷小袖、九月九日から綿入れ小袖を着用と歳時記に書かれていますが、生活様式も変り、着物(和服)を着るということも少なくなった今日では、一通りのしきたりとして、六月一日と十月一日からが衣替えの日となっております。
五味五色
以前にもこの誌面に書きましたが、食欲の落ちる夏前にもう一度確認させて頂きます。
「料理を楽しく、美味しくする。食材の色取りとバランス」について、食材を五つの色、味に分けてみます。(赤)蟹、豚、鶏肉、海老、金目、鮭、牛肉、人参。(白)つみれ、いか、白身魚、麺類、豆腐、大根、はんぺん。(緑)セリ、シソ、絹さや、葱、白菜、ホウレン草、春菊。(黄)卵、柚子、南瓜、筍、厚揚がんもどき。(黒)胡麻、ヒジキ、木耳、舞茸、こんにゃく、昆布、若布等があります。「一日三十品目の摂取!」ということで管理栄養士さんなどがご指導されていますが、さすがにそこまでは、と思います。そこで、(食材の)色取りを多少気にしながら調理致しますと、ビタミン、タンパク、食物繊維、ミネラル等バランスもとれて、日々の体調管理に役立つと思います。
調理長 出口晴雄




